シロの決死の脱出
うちでの生活にも慣れたのか,シロがサンルームから何度も母屋に逃げ込んできた。
レオがぴったりへばりついてニャーニャー鳴きながら追いかけて威嚇し,
怯えたシロが食卓の上に飛び乗ってしまうという一幕もあった。
今日も例によって朝からレオがサンルームで看守のごとくシロの一挙手一動を見張っていた。
シロは囚人のような哀れな境遇だ。しかしもうしばらく我慢してもらうことにしよう。
「寝てるんじゃないぜ。こう見えても警備をしてるんだ。俺様の領土を盗られてたまるかってんだ」
一日中見張っていてくたびれたらしい
シロ「怖いよぉ。後ろでレオが見張ってる」
ペル「おい,あんちゃん。そろそろ休まなきゃ体がもたんよ」レオ「俺は世界平和を守るために戦ってるんだ。」
ペルは中立の立場をとることに決めたらしく,レオとシロの争いを遠巻きに見守っているか,
無視して寝ているかのどちらかである。
ところがシロがペルのお気に入りの寝床に前足を一歩踏み入れた途端,
それまで人形ケースの上から文字通り高見の見物をしていたペルが
風のような素早い動きで降りてくると奇声を発してシロを威嚇してサンルームに追い返した。
シロはどうやら地雷を踏んでしまったらしい。
ペル「わしの縄張りを荒らすとはけしからん」
ペルは壁にかかっている鏡を見るのが大好きである。時には身を乗り出して自分の姿に
じっと見入っている。母親によるとペルは鏡に映る像が自分の顔だと
わかっていないから2歳以下の知能だそうである。失敬な。