ネコの楽園

 我が家には猫の額ほどのせまーいサンルームがある。母親が
 
退職後に入ろうと,築10年ほどだった母屋に後からつけたした。(その分庭がせまくなった)
 
サンルームを作る前はその場所に花壇をつくっていた。
 
そこに植えてあった薔薇の木を植え替えたが,かれてしまった。
 
大富豪の家のサンルームがテレビで映されたが,うちのがはるかに
 
狭くてショボくみえると母親がこぼしていた。狭いといっても,100万円以上かかったのだが。
 
ガラス戸を開けて母屋から出入りする構造になっている。木のテーブルとイスを買って置いたが,
 
ペンキの臭いがひどくて弟が激怒し,庭に出してしまったのでがらんどうだった。
 
仕事が忙しすぎて家でくつろぐ暇などない,母の代わりにサンルームはネコたちのくつろぐ場となった。
 
屋根が透明なので日光がサンサンと降り注ぎ,居心地がいいらしく,
 
猫は晴れた日には日がな一日入り浸っている。猫用の遊具や布で出来たトンネルを置いてあげた。
 
しかし鍵をつけているとはいえ,簡単に蹴破れそうな
 
プラスチックの壁で囲まれているので,
 
外出する際や,夜中はガラス戸を閉め,防犯のため鍵をかけてサンルームを締め切ってしまう。
 
閉めてしまった後でガラス戸の前で猫がニャアニャア鳴いて出してくれとせがむこともよくある。
 
困ったことに,猫がいることに気づかず,間違って閉じ込めてしまう事件が多発した。
 
暑い日にトンネルの中にかくれていたペルが閉じ込められたことがあった。
 
メーンクーンが夜中に閉じ込められ,うんこをもらしたこともあった。
 
ある夜,ペルシャがサンルームと母屋を区切っている,ガラス戸に体当たりを繰り返し始めた。
 
なんだろうと思ってのぞくと,アメショーが閉じ込められていた。
 
黒っぽい毛皮なので夜の闇にまぎれると見えにくいのだ。
 
特に弟がずぼらでよく確認しないので,これまでも何度か閉じ込めてしまった。
 
ペルシャはたぶん飼い主にレオが閉じ込められていることを知らせようとしたのだろう。
 
猫にも情があるのだと感心した。
 
逆にペルが閉じ込められているのをレオが知らせてくれたこともある。
 
 今日もサンルームでは二匹が仲良く寝ていた。新しい机を入れたので
 
その上にペルが丸くなって寝て,レオが床に腹を見せて寝ていた。しかしいつも仲がいいわけではない。
 
ペルシャがサンルームを独り占めしてレオを入れまいと入口の番をすることがよくある。
 
入ろうとすると,白い手がにゅうっとのびてきて,レオをパンチする。
 
縄張り争いだろうが,レオびいきの母親はペルのことをくそみそにいう。困ったものだ。
 
 話は換わるが,最近,ペルがうんちをトイレの外にこぼす粗相を繰り返している。
 
床の上にどんぐりのような硬い粒がころっと落ちていることが何回もあった。
 
 ペルもレオも枕におしっこをひっかけたりと悪さをするので,
 
寝室には入れないようにしている。マンチカンを私の寝室に自由に出入りさせていたら,
 
机の影にうんこをこっそり漏らしていたことがあった。あまりの悪臭に部屋の隅々を調べたら,
 
月見団子どころではない,ピラミッドのようにうずたかく積み上げられたウンチの山が見つかったこともあった。
 
それでも懲りずに入れていたら,今度は枕に尿をかけられた。
 
気づかずに寝てしまったらあまりの悪臭に飛び上がった。何枚布団をだめにしたことか。
 
 さて,本題に戻ろう。ある晩寝ていると扉の向こうでペルがニャアニャア鳴く
 
声が聞こえた。絶叫に近い声で長い間鳴き続け,ついにはペルはドアに体当たりまでしていた。
 
仕方なく出て行くと,猫がのっしのっしと歩いてトイレのある方向に導いて行く。
 
「ははあん。うんこをしたので取ってほしいのだな」と思いながらついて行くと,
 
足元にどんぐりのようなお団子が落ちているのが目にとまった。
 
トイレにも糞尿がしてあったが,一つだけこぼしてしまったようだった
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ちゃんと知らせてくれるとはえらい奴だと感心した。毛が長いからしっぽに便がくっついてしまうのだろうな。
 
ペルを買うときに毛が長いとウンチがくっつきやすいという母親の反対を押し切って
 
買ってもらったのを思い出した。やはりわたしが責任を取ってウンの始末をしなきゃならない。