ネコの肉食女子
先日,レオをトリマーのところに連れて行った。
その店では人の目線くらいの高いところにガラスケースがいくつかあって,その
一つに耳が立ったスコティッシュフォールドの白いメスがいつもいる。
ときには別なケースに子犬がいることもある。
耳が立ったから売れ残ったので引き取ったと聞いた。どうやら店主(女性)の飼い猫らしい。
ある日の午前中,レオくんを,メッシュでできた黒のキャリーバッグに入れて運び込んだ。
ただならぬ気配を背後に感じて,振り返ると,ガラスケースの中の白い雌ネコが,身を乗り出して
床に置かれたバッグの中にいるレオのことを,ぎらぎらした目つきで見つめていた。
うろうろとカニさんみたいに横に歩き回りながらも,決してレオから目を離さない。
一点を凝視するあまり,より目になっていた。レオの方は,頸をメスがいる方と反対側に曲げて
そっぽを向いていた。「オスだ!オスだ!好みのタイプだ!なんとしてもモノにしてやるわ!」
という意気込みにあふれていた。まさにネコ界の肉食女子である。
しかしレオはメスに好意をもっていないようだった。首が痛くなるのではと心配になるほど,
反対方向にぎゅうっと曲げてそっぽを向いていた。怖がっているのか,ちぢこまっていた。
毛並みがいいのでネコの目から見てもハンサムなのかなと飼い主としては鼻高々だった。
ペットショップで展示されていたころ,レオの入ったケースの前に人だかりがしていた。
「ねこさんだ。かわいい。」と小さな子供がはしゃいでいた。ものすごくハンサムなアメショーだった。
シャンプーが終わって,ネコを連れて帰るとき,メスはグーグー寝ていたので,
「ネコさん,ネコさん,見てごらん」といいながら,
ケースをネコの目の前に高々とかかげてみせてやった。途端に,メスはがばっとはねおき,
またぎらぎらした目つきでレオを見ていたが,レオはまたしても首を180度曲げてそっぽを向いてしまった。
お店の人がひきつった笑顔を浮かべていた。さすがにちょっとやりすぎたような気がした。
ちなみにこのメスはシロを連れて行ったときには無反応でグーグー寝ていた。
ユメネコを買ってきたら,レオはそばに行ってうっとりしていた。
本物のメスには興味ないのになあ。